人気ブログランキング |

うしおばさんの雑記帳

usiobasan.exblog.jp
ブログトップ

牛後俳句とエッセイ(第14回) 牧開き牛を荒息ごと放つ

牧開き牛を荒息ごと放つ  鈴木牛後


(まきびらきうしをあらいきごとはなつ)

「牧開き」というとのんびりした響きですが、実際の放牧初日はそんなものではなく、バタバタです。

放牧初日。出す準備に出入り口の片づけを始めるともう牛たちの咆哮が牛舎に響き始めます。悲鳴のような鳴き声です。

ああ、うるさいと思いながら準備を終わらせ、いざ牛を放そうとすると、放牧行きたさに牛の気がせいてチェーンをひっぱるひっぱる。で、ナスカンをなかなか外せなくて指を挟んだりして、ダンナの怒鳴り声が響き、やっと放すと、半年の繋ぎ飼いで足腰が弱りよろよろと、こけつまろびつしながらも走る牛、転ぶ牛、逆走する牛。

放牧地に行っても、疾走して端まで行き、また牛舎に走り戻り、あっちこっち牛同士でどつきあいをし、土に体をなすりつけ、興奮の限りを尽くします。

牛舎は牛舎で、分娩が近いからとお留守番になった牛が自分も出せと鳴き叫び、最初は出してもらえない放牧未経験の若牛も何だか分からないけど鳴き叫び。それが初日です。


残さるる鎖の重さ牧開き 牛後


そんなこんなで混乱を極める初日ですが、2日目になるともうみんな落ち着いて放牧に出かけます。たった1日で、牛も人間も半年前の記憶を取り戻すのですね。


さて初産牛は、育成のとき公共の預託牧場で放牧経験はあるのですが、公共牧場は出しっぱなしです。でも搾乳牛は朝と夕方1日2回、牛舎に帰って乳を搾られなければならなりません。この1日2回の出し入れに慣らすのがなかなか大変なのです。

未経験牛は毎年10頭前後いて、全部いっぺんに出すと収拾がつかなくなるので、1日2~3頭ずつ出します。そして、その2~3頭が慣れると次の牛を出す、というふうにだんだん増やしてゆくのですが、これがなかなか時間がかかります。

でも、就農当初の全頭初産牛で全頭放牧未経験の時と違って、ベテランのお姉さん達に少しずつ混ぜていくのは楽なもんです。人間が躾けなくてもお姉さんが、どうしたらいいか分からなくてオロオロしている若牛を、どついて躾けてくれますから。

そして放牧もいきなり全て始めるのではなく、慣らし放牧といって時間放牧をし、そして昼間だけ出し、最後に昼も夜も出すというふうに段階を踏んでいきますから、なかなか時間がかかります。

放牧で本当に楽になるのは、全頭が出し入れに慣れて昼夜放牧になった頃ですが、その時期になると今度は牧草収穫が始まります。

花を見ぬ牛と花見をしてをりぬ 牛後

初花の下を下向く牛の群 牛後

道北地方の桜が開花するのは5月10日前後ですが、放牧開始がこれに間に合うと、桜と放牧のコラボした風景が見られます。

f0370900_15282144.jpg
f0370900_15283243.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-19 15:33 | 牛後俳句とエッセイ

放牧初日

今日は、放牧初日でした。

f0370900_13531341.jpg


牛たちは、興奮してました。









# by usiobasan2016 | 2019-05-18 13:52 | 酪農

なつぞらオマージュ写真館⑥

先週と今週の「なつぞら」オマージュ写真です。

f0370900_13363428.jpg

f0370900_13363598.jpg

f0370900_13363509.jpg

f0370900_13363535.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-18 13:35 | 生活

スモモの花

スモモの花が満開です。

f0370900_14215799.jpg


半年の冬の厳しさの量より、5月6月の爽やかさの量の方が勝っているので、北海道で暮らしていけます。
# by usiobasan2016 | 2019-05-17 14:21 | 田舎暮らし

うし子

最近、うちの牛舎に新しい野良猫が住み着いています。

牛柄なので「うし子」と名付けました。

f0370900_14014059.jpg


先住猫のママ子&ハン子と、うし子との距離感。

f0370900_14041075.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-15 14:00 | 酪農

牛後俳句とエッセイ(第13回) 牧開き空と牧とはちがふ青

牧開き空と牧とはちがふ青  鈴木牛後


(まきびらきそらとまきとはちがうあお)

「楽でもうかる酪農をやろう」


今から22年前にダンナが私に言った言葉です。

私は農家になりたくて大阪から北海道に渡りましたが、野菜農家になりたかったのです。酪農での就農は全く考えていませんでした。それは、とてもきつくて辛い仕事じゃないかと思っていたのが理由です。

でもダンナは、「放牧して生産コストを低く抑えれば、楽でもうかる酪農も夢じゃない」と言ったのです。そして「野菜農家は農繁期は本当に休みがないよ。その点、酪農家には今はヘルパー制度があって休めるし、冬にも出稼ぎに行かなくていいし、それに放牧は楽なんだよ」と続けました。

そうか放牧は楽なのか。

………だまされました。

今でこそ楽な部分もありますが、就農当初は40頭の初産牛がほとんど放牧未経験で、放牧に行かないし帰って来ない。席から出ないし席に入らない。脱柵はするし行っても草を食べないで鳴いてばかりいる。人間が要領が悪ければ牛も要領が悪く、経験もなければ知恵もなく、力任せと全力疾走という日々でした。

放牧のマニュアル本では慣れるのに数ヶ月と書いてありましたが、うちでは本当にスムーズに放牧できるようになるのに3年かかりました。

でも、今ではそんな苦労も昔話になりました。
「楽でもうかる」というのはひとまず置いといて、放牧はやはり良いものです。山の斜面を牛を追って上り下りするのはアルプスの少女ハイジになったようで気分が良いし、市街地が一望できる頂上からの景色は最高です。牛を迎えに行くと、ひんやりした朝の空気の中、眼下に雲海が広がっているのが見えたり朝日が昇ってくる瞬間が見られたり、夕日の美しさにうっとりしたり…。

さっきは、ダンナにだまされたと言いましたが、牛を追って山を下っていると「やっぱりこの仕事が好きだな。放牧が好きだな」と思っている自分に気が付きます。

f0370900_23164093.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-12 10:06 | 牛後俳句とエッセイ

サクラサク

5月10日。

放牧地に桜が咲いていました。

小雨7℃の電牧張り。

寒い。

ももひき履いてます。

f0370900_15425697.jpg

f0370900_13441253.jpg

f0370900_13450188.jpg

# by usiobasan2016 | 2019-05-10 15:42 | 酪農

牛後俳句とエッセイ(第12回) 草青むはやさに歩む牧支度

草青むはやさに歩む牧支度  鈴木牛後

(くさあおむはやさにあゆむまきじたく)

ゴールデンウィークは仕事です。いや、ゴールデンウィークこそ働きます!だって、やっと春になったんですもん。

4月下旬になると残雪もほとんどなくなり、畑の土も乾いてきてトラクターで入れるようになります。いよいよ春の農繁期突入です。

ダンナはまず尿散布、肥料散布に出ます。それが終わるのを待ってから放牧地の電気牧柵を張っていては間に合わないので、ダンナのトラクター作業と平行して、私が一人で電牧張りをしています。

北海道では5月の終わりくらいになると、スプリングフラッシュといって牧草が爆発的に伸びます。そうなってからではもう牛は放牧草を食べません。(不思議なことに長く伸びた草も刈り取って乾かせば食べるのですが、地面から生えている状態では長くなると食べないのです)

この、いかに短くて栄養のある放牧草をたくさん牛に食べさせるか。これが放牧酪農で稼ぐ勝負なのです。
だからどんどん伸びる草に追い立てられるように、焦って電牧を張っていきます。

うちは戦後開拓の農家の跡地に就農したのですが、戦後開拓が条件不利地しか残っていなかった事はテレビなどでご存知かと思います。つまり平らな土地がほとんどないのです。全部の放牧地が山と呼んでいいくらいの傾斜地です。しかも40haもありますから電牧の外周は5kmにもなります。車で行けないほどの斜面なので歩いて周ります。何か忘れ物をしても山坂越えて家まで取りに戻るのが大変ですから(しかも一人だし)必要な全ての工具と補修用の部品を背中のリュックに背負って歩きます。猛烈な笹薮や雑木林の中の背丈よりも高い雑草をこぎながら張っていきます。

この頃になると日中プラス20℃近くまで気温が上がる事もあるのですが、半袖などの軽装では行けません。上下ヤッケに首にはしっかりタオルを巻いて帽子手袋。素肌は出しません。ダニ対策です。ダニは木の幹の上で何か生き物が通りかかるのをひたすら待っていて、生き物が通るとここぞとばかりに狙って落ちるそうです。首なんか出してたら背中から入られます。

春のぽかぽか陽気の中ウグイスの声を聞き、完全防備で暑さにふぅふぅ、背中に重装備を背負ってふぅふぅ、急斜面の藪こぎでふぅふぅ。

これがうちの電牧張りスタイルです。

この全長5kmの道程の終点近く、電牧張りももうすぐ終わるとほっとして角を曲がると、今まで笹薮だったのに、突然目の前にエゾエンゴサクのお花畑が広がります。それは見事です。ゴールデンウィークにどこにも行かないけど、この景色はひとり占めです。みんなは混雑した行楽地に出かけてるんだよな、ふふ、とか思って一息つき座って眺めるのが毎年の楽しみです。

さて、今は私一人で張っていますが、子供達が家にいた頃は、学校が休みのゴールデンウィークは格好の農作業シーズンでした。

朝ドラのヒロインと違い、子供は自分からは喜んで働きませんから、お小遣いとお寿司をエサに手伝わせました。

「全部張り終わったら、回転寿司行くよ!」

「お皿の色は気にしなくていいよ!」
大盤振る舞いでしたね。

杭打つて山の眠りを覚ましけり 牛後

大体張り終わったら、杭の抜けているところとか、問題のある箇所をダンナが直していきます。

牛糞を蹴ればほこんと春の土 牛後

放牧地の中にエゾヤマザクラの木があります。桜が咲くのが先か電牧を張り終わるのが先か。桜を見ながら電牧を張っている年もあり、放牧している牛の後ろで桜が咲いている年もありといろいろですが、いずれにせよゴールデンウィークのあいだには、道北地方に桜前線は到達していません。

f0370900_11311154.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-05 11:32 | 牛後俳句とエッセイ

なつぞらオマージュ写真館⑤

今週の「なつぞら」オマージュ写真です。

f0370900_17134992.jpg

f0370900_17134979.jpg

f0370900_17135079.jpg

f0370900_17135004.jpg


# by usiobasan2016 | 2019-05-04 17:12 | 生活

牛後俳句とエッセイ(お休み)

本日のエッセイは、お休みします。

ゴールデンウィークは、まったく関係ないのですが、自宅のリフォーム工事をしていて、その音が予想以上に賑やかで、落ち着いて書き物が出来ないのです。

来週は投稿する予定です。
もしよろしければ、来週またのぞきに来て下さい。


# by usiobasan2016 | 2019-04-28 12:06 | 牛後俳句とエッセイ